ブログ2023.06.10

日本の住宅は低性能?~その3~

こんにちは🐷A-woodhome(エーウッドホーム)の荒木です!

前回までは断熱性能の重要性についてお話ししてきましたが、断熱性能と同じくらい大事な性能、『気密性能』についてお話しします(なんかシリーズ化しちゃっていますが、それだけお伝えしておきたいことなんです…😤)!

『気密性能』とは簡単に言うと、家全体でどれくらいのすき間があるのかということで、『C値(㎠/㎡)』という数値で表します。このC値が小さければ小さいほどすき間のない家ということになります。

前回までの断熱性能の話で、2025年から施行される断熱性能適合義務のお話をしましたが、この気密性能に関しては現在わが国では適合義務どころか基準値すら存在しません😣

いくら高価で性能の高い断熱材を使用したとしても、すき間だらけの家ではその効果を十分に発揮することはできません。家の隙間が多いと、せっかく暖めた(冷やした)空気が外に漏れてしまい暮らしのエネルギーのムダが多く、光熱費にも影響します。

とっても高価で暖かいダウンジャケットを着ていても前のボタンやチャックが空いていれば寒いよね🥶という話です。
また気密性を高めることで、余計な抜け穴や隙間風に影響されることなく、室内の換気効率も良くなります。さらに、防音性・遮音性も期待できます😁

それだけ重要な性能にもかかわらず、わが国には基準値すら存在しません(しつこい様ですが)。かつて10年以上前に一応の指標値としてあったもので5.0㎠/㎡(寒冷地を除く)で、現在建っている日本の住宅のほとんどがこのレベル、またはこのレベル以下と言われています。

では、このC値の基準が定められている欧米諸国を見てみましょう。

欧米諸国ではこのC値の基準が定められています。

ドイツは0.3㎠/㎡、ベルギーは0.4㎠/㎡、スウェーデンは0.6㎠/㎡…
ここでもいかに日本の気密性能が遅れをとっているかがわかります。

そしてもうひとつ重要な点が気密性能(C値)は実際の現場で実測する事でしか算出できない数値だということです。
UA値やQ値といった断熱性能の表す数値は、工事が始まる前の段階で建物の床面積や外皮面積、断熱材や窓の仕様により計算することで算出できます。つまり、その計算の仕方を知っている人であれば誰でも出せます。
一方、現場で専用の機械を設置して測定するC値は、測定しなくてはいけないというルールはもちろんないのでほとんど実施されていないのが現実です😨😨

弊社現場での気密測定の様子

実際に、大手ハウスメーカーでC値を公表している会社は非常に少ないです。
鉄骨造はその構造上、気密性能の確保に向いていないと言われています。そのため鉄骨系ハウスメーカーではそもそもC値が期待できません。気密性能の確保という点では木造の方が鉄骨造に比べて幾分有利ですが、木造系ハウスメーカーでもC値を公表していないのは、均等な質が確保できないからです。良い気密性能を確保するには現場監督の確かなノウハウ、現場職人の丁寧で手間ひまかけた施工が不可欠です。施工の多くを外注業者に頼るハウスメーカーではそれぞれの技術の差から均等な気密性能を確保することは至難の業でしょう。もちろん、ハウスメーカーの施工業者さんの中にも確かな技術で高気密を実現できる業者さんもいるとは思いますが。
ハウスメーカーに限らず、工務店においても気密測定を実施している業者はほとんどいません。裏を返せば、気密測定を実施している業者は断熱性と気密性は2つでセットという考えのもと、気密性能の重要性に理解があり高い意識で施工にあたっている業者だと言えます。

『気密測定はやっていますか?』

この質問の回答、リアクション次第でその業者がどれだけ高性能住宅を理解しているかわかるかもしれません。

ここまで3回に渡って、本当に健康で快適に暮らすことができる高性能住宅の実現に必要な、『断熱性能』と『気密性能』についてお話ししました。
一生に一度の家づくり、もちろん信頼できる家づくりのパートナーを見つけることは大事なことです。ですが、最終的に家づくりの判断をするのはあなた自身です。
後々後悔しないためにも、是非建てる前に目には見えない『性能』についても勉強して、納得した上で家づくりをスタートさせてください😀